ダイバシティヴィム 小渕優子 衆議院議員

平成21年6月に福祉団体としてスタートしたオフィスヴィムは、平成21年9月からダイバシティヴィムというシンポジウムを開催しており、平成26年2月には小渕優子先生を講師にお招きして「待機児童・学童保育」をテーマに開催しました。

平成25年12月に活動を開始したヴィムブライド白金は、少子化についての問題意識から「少子社会の是正」を掲げており今回、小渕優子先生の講演記録を掲載させて頂きます。


第16回 ダイバシティヴィム

「待機児童問題・学童保育問題について」
小渕優子日時:平成26年2月17日(月)13:00~15:00
場所:参議院議員会館 会議室(東京都千代田区永田町2-1-1)
開会挨拶:山東昭子 参議院議員(元参議院副議長)
講師:小渕優子 衆議院議員(元男女共同参画・少子化対策担当大臣)
パネリスト:
島根太郎 キッズベースキャンプ社長(東急グループ)
長畑久美子 パソナフォスター社長(パソナグループ)
浜佳葉子(東京都 少子社会対策部長)

安倍内閣は成長戦略の一環として、男女共同参画の促進を打ち出しています。
少子化と高齢化の進む日本に於いて、
重要な課題の1つは女性の社会進出の促進であり
また、女性が安心して出産・育児をできる環境整備が不可欠であります。
その為には、女性の雇用機会などの促進をするためにも行政や社会が一体となって
子育ての課題を解決していくことが喫緊の課題だと思われます。
今回のシンポジュウムは、女性の社会進出の中で解決しなければならない課題の中で
重要である“待機児童問題”、および「小1の壁」と言われる“学童保育”の問題に絞り、
様々な切り口から議論をしていきたいと思います。
また、病児保育や障害児保育などについても触れていきたいと思っております。

 

小渕優子先生 講演記録

皆さまこんにちは。小渕優子です。
今日は南間さんからこの第16回ダイバシティヴィムという素敵な場にお招き頂きました。
今日のテーマは「待機児童・学童保育問題について」ということで、
総論的な話と、それについての私自身の思うところについて話させて頂きます。

皆さんのお手元に「出生数、合計特殊出生率の推移」という資料を配布させて頂きました。(資料①)
このグラフは皆さま色々な所でご覧になる機会があると思いますが、
要は日本に生まれてくる子供たちが、急速に減ってきている現状を表したグラフです。
日本の今年(平成24年)の出生率は1.41になりました。
しかし皆さま、出生率ではなくて出生数に着目をして頂きたいと思います。
出生率がいくら高い数字になってきても日本では出生数が確実に下がってきているということを、このグラフを観て頂きご理解いただけると思います。

因みに私はここで2つ目の高いグラフの第二次ベビーブーム世代の1人です。
この第二次ベビーブームの前には、この世代のお父さんやお母さんの世代の(我々はよく団塊の世代という風に言います)第一次ベビーブームが発生してきていました。
そして第一次ベビーブームが第二次ベビーブームを生んだのであれば、本来第二次ベビーブームの世代がお父さんお母さんとなる、第三次ベビーブームというものが日本に作られても良かったはずです。
しかしこのグラフを観て頂きますと、そういうものが起こらずに第二次ベビーブームをピークとして、
ずっと出生率・出生数が下がってきているとお分かり頂けると思います。

私はちょうど5年前に少子化対策担当大臣をしていました。
その時にはこの第二次ベビーブームの世代はだいたい30代中ごろの方々でした。
「今、本当に待ったなしで出来る限りの少子化対策をすれば、もしかしたら第三次ベビーブームを作れるかも知れない」
私はそんな想いを持ってあの時、少子化対策担当大臣に取り組んでいました。
しかしなかなかそういう訳にはいきませんでした。
ということは母親になる人口が減っていくということですから、確実に子供の数が減っていってしまう。
今そいういう現状になってきています。

次のページ「主な国の合計特殊出生率の動き」(資料②)をご覧いただくと、先進国はどこの国も少子化だということが伺われます。

このグラフを見ると、どこの国もやはりあまり子供が多いとは言えない数値です。
しかしその中でも日本は特別に合計特殊出生率が低いとご理解いただけると思います。
たぶん日本より少子化になっているのはお隣の韓国です。
こちらもなかなか深刻な状況でありまして、韓国はたぶん1.1~1.2くらいの出生率という状況になっています。

ではこの状況はなぜ起こるのでしょうか。
今まで少子化の原因と言うのは、なかなか理由が見つかりません、或いは理由は多岐にわたるのではと言われていました。
しかし最近は日本の少子化は、晩婚・未婚が7割影響していると言われています。

次のページ「出生率低下の要因」(資料③)をお捲り下さい。

この未婚率、私はそうとう高くなってきていると思います。
昔は女性で言えば、よく29才までに結婚しなければならない、30代になってはならないという恐怖観念がありました。
でも今はまったくそんなことはないですね。
男性も女性も30代前半では、3割4割或いは5割の方々がまだ未婚であるというのがこのグラフを観て頂けると分かると思います。
それで「なんで未婚なんですか?なんで晩婚なんですか?その理由を教えて下さい。」と聞くと、もちろん「運命の出会いがなかった」という人もおられますが、けっこう高い比率として出てくる答えは「経済的な理由」です。
若い人たちの雇用・経済的なものがいかに安定をしていないのか。
それがやはり未婚や晩婚に繋がり、少子化につながっていると言えます。

でもこのグラフを見て「じゃあ日本人はもう子どもが欲しくないって思っている人が多いのかな?結婚したくないっていう人が多いのかな?」と思ってしまうと実はそうではありません。
アンケートを取ると、若い方々の8割は「結婚がしたい」という返事が返ってきます。
そしてその8割の方々に「子どもが欲しいですか?」と訊くと、「2人以上欲しいです」とう返事がまたその8割の人から返ってきます。
この内容を日本の出生率に置き換えてみると、なんと1.75になります。
しかし先ほど申し上げたように、日本の出生率は今1.41です。とすると理想は1.75。でも現実は1.41。
この差を埋めていく政策をとっていくのが、私は少子化を克服する為に重要だと考えています。

これまでの少子化対策は子どもが生まれてから、様々なカタチで対策を取ってきました。
だけどもう、そういった対策だけでは遅い時代になってきています。
少子化対策は出会いから結婚・出産・子育て・教育・そして若い人たちの雇用に至るまで、これらをワンパッケージとして、行政として、国として支援をしていくことが、私はこれからの少子化対策に確実に必要なだと考えています。

私は5年前に少子化対策担当大臣をしていました。
その時に私は「少子化という本当になかなか解決の難しい大きな問題を前に、これはある程度集中をして、ポイントを決めてやる必要があるのではないか」と思いながら、3つの柱を立てさせて頂きました。
1つ目は「経済的支援」
2つ目は「環境整備」
3つ目は「意識の改革」
この3つを3本の柱として重点的にバランスを取りながらやっていくことが、少子化に於いて重要だと私は考えました。

まず1つ目の「経済的支援」についてです。
若い人たちに色々なアンケートを取ると2人目・3人目、4人目が欲しいという答えがとても多いです。
「それならばなぜ産まないの?」と聞くと「お金がかかるからです」という答えがとても多い。
とすると逆に考えれば、少子化はある程度お金で解決できるのではないか、とも考えられます。

私たち自民党が政権を奪還する前は民主党が政権を担っていました。
皆さまはあの時の一番の目玉政策を覚えていらっしゃいますか。
「子ども手当」を1人当たり26,000円差し上げますというものでした。
しかしあの政策は5兆円かかるんです。この5兆円という金額は日本の防衛費と同じです。
でも私は5兆円という大金を、もしも日本が子どものことだけにかけられるのだとしたら、なにか大きく変わるところはあったのではないかと思います。

しかしこの政策には2つの問題点がありました。
1つ目は子ども手当は、子どもをもっている家庭にしかいかないということです。
さっき申し上げたように、少子化の要因の7割は未婚化・晩婚化です。
とすると、子どもを持っているところにだけお金が注がれたとしても、はたして少子化が解決できるのかどうか?
これは大きな疑問でありました。

問題点の2つ目は、これは最も大きな話ですが、この5兆円という財源を持ってくることができなかったんです。
これがあの「子ども手当」という政策が実現しなかった1番の理由でありました。
しかし私は日本は現状よりも、もっともっと子供たちにお金をかけて良いと思っています。

次の資料④「各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2007年)」を開いて下さい。

これはGDP比で家族や子どもに日本がどれだけお金を使っているのかというグラフです。
ご覧いただくとスウェーデンやイギリスは凄く高額ですが、日本はGDPに比べて子どもや家庭にあまりお金をかけてこなかったとお分かり頂けると思います。
これは政策的には、家族関係社会支出は本人や家族任せという部分があったのでしょう。

しかしこの度消費税が上がります。
この4月に8%。そしてまだ検討中ですけども目標としては10%まで上げていく。
この消費税のアップ分は社会保障費に回されます。
では皆さん、社会保障費って何でしょうか。
それは年金と医療と、介護と、そして少子化対策が含まれるんです。
それなので今のところ、少子化対策に消費税のうちの7000億円を頂けることになっています。
しかし私は本当は日本の子どもたちのために1%欲しかったのです。
1%あると、それは2.5兆円くらいになります。
そうすると少子化対策はずいぶん変わっていくのかなあと思ったのですけれども、なかなか年金・医療・介護の部分でかなりかかりますので、少子化対策だけに持ってくるわけにはいかないということでした。
しかしながら今回、消費税アップにより財源をある程度確保できたので、何らかのカタチでの経済的支援をしていけると思っています。

2つ目の「環境整備」についてです。
この環境整備というのは、女性が家庭と仕事を両立できるための整備です。
皆さまもご承知のように昨今、共稼ぎの家庭が専業主婦家庭を上回るようになってきました。
その際に1番の問題は、家庭でお子さんをみていたお母さんが外にでて働き始めるとなった時に、お子さんをどうするのかということです。
保育園に預けるのか、どうするのか、その辺りの解決をしていかなければなりません。
そして今日この後、パネラーの皆さまに議論して頂く待機児童問題が大きく出てくるようになった訳です。

5枚目の資料として「保育所待機児童数及び保育所利用率の推移」という、今の待機児童や保育所の利用率の推移のグラフを用意させて頂きました。(資料⑤)

これを見ると施設は増えているのだけど、それを利用する人たちや、利用する年齢が0才・1才・2才の部分も増えています。
要するに施設を利用する人たちがどんどん増えているのです。
だから私はいつも待機児童を解消したいと申し上げているんですけども、施設を使いたい人たちがどんどん増えていますから、単純に施設を増設しても一方で待機児童が増えていってしまう。
ということでなかなか施設を増やすことが解決策にならないという現状があります。

これは都市部を中心にした大きな問題なのですけども、やはり安心して子供を預けられる、子どもを預かってくれるところがないと、お母さん方も安心して働けません。
それはなんとかして解決をしていかなければならない部分です。
ではどうやって解決していくのかと言うと、先ほどお話した消費税アップ分をこれから待機児童対策に投入していきます。
そうやって保育園を沢山つくっていけるようにお金を当てられるようになります。
それにプラスして認定こども園も増やしていく。
これは例えば今まで幼稚園をやっていた方々が、子どもを預かる時間の延長を増やして、さらに少し保育園の要素を取り入れながら預かり保育をしていくというものです。
或いは保育園と幼稚園が合体をして、新たな認定こども園というものを作っていく。
そういうカタチでお子さんたちを預かれる設備を整えていかなくてはならない。
そういうところにも力を入れていく必要があります。

3つ目は一番精神的な部分である「意識の改革」です。
これがやはり日本に於いては一番難しいところだと思います。
日本のこれまでの家庭の様子を見ると、お父さんが外に働きに出ていて、お母さんが家の中にいて、それで家でお母さんが子どもを育てているという家庭が大多数でした。
しかし昨今お母さんが少しずつ社会に出て行くようになりました。
それで色々な問題が出てきた。
それらの問題についての意識的なものをどうしていくのか、これが今1つの大きな課題になっています。

私はこういった問題については、男性の働き方を見直していく必要があると考えています。
私たちは「女性の働き方を見直す」「女性を支援していく」「女性の社会参画を応援していく」というように、「いつも主人公は女性」と耳にします。
しかし私は意識改革と言うものは女性だけでなく、男性も含めて働き方の見直しができなければ、本当の意味で日本の意識改革には繋がっていかないと考えています。
ではどうでしょう。皆さんの周りの男性は少しずつ変わってきているでしょうか。
「正直言ってなかなか変わっていません」「相変わらず9時間も10時間も働いていて、残業も山ほどやっていて、子どもたちが寝た後でなければ帰ってきません」
そんなご家庭も多いのではないかと思います。
でもこういうものは少しずつ変わってくるものであり、私は少しずつ変わってきているのではないか思っています。

例えば私には今6才と4才になる2人の保育園児がいまして、毎朝保育園に送っています。
そしてその保育園では、園児の半分ぐらいはお父さんたちが送ってきています。
このあたりもずいぶん変わってきたなあと思っています。
昔はお休みの日に公園でお父さんが子どもを1人で遊ばせていたりすると、その横を通ったお母さんたちが「あらあの子、お父さんが遊ばせているけどお母さんはいったいどうしちゃったのかしらね。あらなんかあったのかしらね。」みたいなヒソヒソ話が公園の中で繰り広げられている時代もありました。
でも今はお休みの日の公園に行って、お父さんが1人で子どもを遊ばせていても全く不思議でなく受け止められているのではないかと思います。

世の中のそういった意識の変化は言葉にも現れていないでしょうか。
例えばイクメンだとかイクジイという言葉が生まれたのも、やはり男性が仕事だけでなく、子育てにも関わってきているという現状から生み出されてきたのだろうと思います。
因みに私がとても驚いた数字があります。皆さん立ち会い出産ってご存知ですよね。
奥さんが出産をする時に旦那さんも一緒に立ち会って、出産の喜びを分かち合おうというものです。
では現在どのくらい立ち会い出産がされているかというと、父親になる2人に1人の男性が立ち会い出産をやっています。
私はこの数字に驚きまして私の母にこのことを言いました。すると母の世代はビックリです。
それは母の世代からすると「昔は男性は台所に入らないというほどだったのに、今の男性は分娩室にも普通に入ってくる!」という感じです。
こんな風に色々なところで男性が育児や家事に積極的に関わりを持ってきた、そういう時代になってきたのだと思います。

年間で男性がどのくらい働いているのかを世界的に見た時に、日本人はやはり他の国に比べて超時間労働を強いられています。
しかし今、男性の長時間労働と同じ働きを女性に求められてもなかなか難しい。
ではそれを踏まえた上で男性も女性もどういう働き方をしていくのかを、今こそ考えていかなければなりません。

そしてこれは子育ての問題に限りません。
今お母さん方は子どもができると出産休暇を取り、育児育休を取ります。
しかし、そういう急に休まれる女性の部下を持つのは嫌だという年配の男性会社員の方もいると聞いています。
そういうお互いの理解不足が、今の日本の不都合を生んでいると私は思います。

今は女性と男性との利害の不一致をどうしていくのかという議論になっています。
だけれど私はこの問題は、今後女性に限らない問題になってくると思っています。
というのは、先ほど見て頂いた資料③「出生率低下の要因」という未婚率のデータがありました。
現在男性の生涯未婚率がもの凄く高くなってきています。
なんと2035年には今の数字の1.5倍ほどになると言われていまして、約3割から4割の男性が生涯未婚になると言われています。
ではこの現状が続くとどうなるのかというと、当然少子化にも大きな影響を及ぼします。
でもそれだけではありません。

最近みなさんの周りに5人兄弟6人兄弟がいなくなりましたね。
だいたい私の周りでも子どもたちは2人兄弟、多くて3人兄弟です。
それでいて1人っ子がもの凄く多い。
では1人っ子の男性がずっと独身だったらどうなるでしょう。
自分の両親の介護・面倒は自分で見るということになってきます。
今、団塊の世代が引退をしてどんどん超高齢化社会になっていくにも関わらず、社会的な施設でお年寄りを受け入れるという体制がなかなか整わなくなってきています。
そういった中でも結婚をして夫婦で暮らしている。また子供がいる。そして孫がいる。ということであれば、色々な手を使って夫婦双方の両親の面倒を見ていけるでしょう。
でも1人の男性が自分の父親も母親も2人の両親を担うというのであれば、これはなかなか大変です。

40代~50代の一番働き盛りの男性の介護による離職率は、2012年だけで15万人を超えたと言われています。
そう考えた時に、何かがあったらお休みを取らなければならない、働き方に気をつけて、自分の生活と働き方の両立を考えていくということは、子どもを持つ女性だけの話ではなくなってくるのです。
まさにもしかすると男性も突きつけられてくる「自分の親の介護のために仕事を休まなければならない」「休職をしなければならない」「時短を取らなければならない」という事態。
それが目の前に迫っているというのが今の少子・高齢化社会です。

という中で今日私が提案をさせて頂きたいのは、もちろん制度としていろんなことを整えていくのは大切なのですが、それだけでなく皆さま1人1人の気持ちの持ちようについてです。
民間の力も借りて、行政の力も借りて、保育園の需要を満たすために、色々な設備を整えていかなければならない。
そういうことは勿論できる限りやって行かなければなりません。
しかし設備以上に私たちがやらなければならないことは、1人1人のまず気持ちの持ちようを作っていくことなのです。
それは何かといえば、今は私たち現役世代が人を支える側に立っています。
でも私は支える側だと思っていても、いつ自分自身が支えられる側になるかは分かりません。
これは逆も言えます。今は支えられる側の立場の例えば女性であったり、高齢者であったり、障害をもっている方であったり、でもそういう方々も支えられる側ではなくて支える側になって頂くこともあるのです。
そう考えた時に一番大切なのは、社会が如何に柔軟な考え方を持てるか。
それは例えば制度や働き方を持てるかではないでしょうか。
特殊な少子高齢化という世界に先駆けた環境を迎えた日本で、今1人1人が「自分に何ができるのか」を考えていくことが大切なのではないかと私は思います。

だんだん時間も無くなってきたので、最後に私事で国会の話をさせて頂きたいと思います。
国会の中で国会議員として働く女性は今1割しかおりません。
その中でも自分が子供を抱えて現役ママとしてやっている議員は、その1割の中の半分もいません。
でも私はもっともっと女性議員が増えたらいいなあと思います。
なぜならば日本の女性政策がなかなか進んでこなかったのは、やはりそれを担う議員が国会の中で少なかったからじゃないかと思うのです。
でもその1割の国会議員もずいぶん変わってきました。
みんな出産をして、子どもを持つようになってきたのです。

皆さんご記憶にあるでしょうか。
今から15年くらい前になりますけども、私の先輩であります橋本聖子先生が第1子を出産されました。
たぶん皆さんの記憶にある中で最初に女性国会議員が出産をしたという出来事だったと思います。
私はその時まだ議員じゃなかったんですけども、あの時に橋本聖子先生が週刊誌等で凄くバッシングを受けていました。
そのバッシングはどういうものかというと「子どもを産むんだったら、子供のために休みなんかを取るんだったら国会議員なんか辞めてしまえ!」というようなものでした。
しかし橋本聖子先生はそういうマイナスの声を跳ね除けて3人のお子さんを持って、今でも現役バリバリで女性議員として大活躍をされています。
しかしそれまでの国会の制度の中で、女性国会議員が出産のために国会を休むなんていうことは、歴史上無かったんです。

私たち国会議員は、国会を休む時に請暇願いという届を出します。
その請暇願いには例えば「海外出張の為・入院の為に国会を休ませて頂きます」「何日から何日まで国会を休ませて頂きます」という項目に記入して事務局に提出しなければなりません。
それで橋本聖子先生がいよいよ出産だということで請暇願いを出そうとしたら、その中に「出産のために休みます」という項目がなかったんです。
困った橋本聖子先生は事務局に相談にいきました。
「請暇願いに産休という項目がありません。私はお産のために休むんですけどどうしたら良いですか」と橋本聖子先生が聞いたら、事務局としても初めてのことですからどうすれば良いのか分からない。
仕方なく事務局は「それでは橋本先生、[その他]に○をつけて下さい」と言って、橋本聖子先生は[その他]に丸をつけたそうなんです。
だけどだいたい[その他]の下にはカッコがついています。
それで橋本聖子先生が「すみません、ここのカッコにはなんて書いたらいいんですか」と聞きました。
すると困った事務局が「う~ん」って頭を捻って「じゃあそこにはですね、(突発的な事故)と書いて下さい」と言われました。
そうして橋本聖子先生は1人目のお子さんを産む時に、国会の請暇願いは[その他(突発的な事故)]としてお休みを頂いたそうです。
でもこんなのおかしいじゃないですか。おかしいですよね。
それから国会のなかで「これはおかしい」という議論が出てきて、請暇願いを出す際の届の中に「育休産休のため」という項目が加わりました。
それなので、その後で出産した私は事故扱いではなく子供を産むことができました。

皆さんも「おかしなエピソードだなあ」と笑われると思います。
でも15年前、国会の中ではこれが常識だったんです。
ほんの15年前までは、女性の国会議員が子どもを産むということは非常識だったんです。
そう考えるとたった15年で常識というものは変わるのでありまして、まだまだそういうところでは今後のさらなる変化に期待ができるのだと思います。

今日は機会を頂いて皆さまに私のお話を聞いて頂きました。
私は今日、皆さまと出会えたご縁に感謝をしております。
どうか皆さまお1人お1人に「私だったらこの日本の少子化のために何ができるのか」とお考えいただいて、是非とも実行に移して頂きたいと思います。
子どもを1人産んでくださいとは申しません。
そんなことではなくて、例えば電車の中で小さな赤ちゃんが泣いた時に、ほほえみ返してくれるだけでも構いません。
「カワイイお子さんですね」とお母様に声をかけて頂くだけでも構いません。
部下が産休を取る時に一言やさしく「帰ってくるのを待ってるよ」と言って下さるだけでも構いません。
そんな何かの積み重ねで日本は変わっていくのではないかと思います。
もっと皆さんが楽しく子どもを産むことができて、安心して子どもを育てられる環境を
私も政治家として作っていけるようにやってまいりたいと思っています。
ご清聴ありがとうございました。

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