ダイバシティヴィム 今井絵理子 参議院議員

平成21年6月に福祉団体としてスタートしたオフィスヴィムは、平成21年9月からダイバシティヴィムというシンポジウムを開催しており、平成28年12月には今井絵理子先生を講師にお招きして「シングルマザーを取り巻く環境」をテーマに開催しました。


第17回 ダイバシティヴィム

「あなたを生んでよかった~シングルマザーが個性と能力を発揮できる社会とは~」

日時:平成28年12月16日(金)13:00~15:00
場所:参議院議員会館 会議室(東京都千代田区永田町2-1-1)
開会挨拶:山東昭子 参議院議員(元参議院副議長)
講師:今井絵理子 参議院議員
パネリスト: 結城公美子 港区議会議員

安倍内閣は成長戦略の一環として男女共同参画の促進を打ち出しています。
少子化と高齢化の進む日本に於いて、重要な課題の1つは女性の社会進出の促進であり、
また、女性が安心して出産・育児・就労をできる環境整備が不可欠です。
しかしながら母子家庭・父子家庭の周辺環境については、まだまだ社会の理解が
不足しているため、時に様々な困難に取り囲まれるのが現状です。
今回はご自身がシングルマザーである今井絵理子議員をお招きして、
シングルマザーが個性と能力を発揮できる社会の在り方について考えます。


今井絵理子先生 講演記録

皆さまこんにちは。
只今ご紹介頂きました今井絵理子です。
私は12才の時から「SPEED」という4人組のユニットで沖縄からデビューをしまして今年で20年になりました。
この20年間の中で結婚をして、そして息子を授かり、離婚をして、シングルマザーになり、旅が続いて歩いている最中でございます。
今日は息子と一緒に歩んできた12年を中心にお話をさせて頂きたいと思っております。

私はSPEEDとしてデビューをして20才の時に結婚をしました。
実は沖縄は早く結婚をする人が多いんです。
それは何故かと言われますと、私が思うには沖縄はお爺ちゃんやお婆ちゃんなど地域社会の横のつながりがあるので、みんなで子どもを育てていける。
だから子どもを生みやすい環境だということがあります。
それなので沖縄の人たちは、子どもを早く産んで地域社会のつながりの中で育てていくことをとても大切に思う風習があります。
私はそんな沖縄で育ったので、東京の人たちには早いと言われたのですが20才の時に結婚をして息子を生みました。
しかし一方で沖縄は離婚率が高いとも言われています。やはり若いうちに勢いで結婚をしてしまうからでしょうか。
そんな中で私自身も離婚をしてシングルマザーになりました。

息子が生後3日目の時に新生児聴覚スクリーニングという検査を病院で受けました。
この検査は任意のものでなかなか広がっていないんですけども、
実は耳の聞こえの悪いお子さんに対しては早期発見、早期教育が凄く大事になってきます。
それは何故かと言いますと言語の発達に大きく影響するからです。
例えば読話や口話というものを身に付けて、人の口を読み取って自分の限られた聴力の中で補聴器を活かして話せるようになること。
聴こえる子の様に音声言語で話せるようになるという結果が表れています。
しかし中には耳の中の奇形によってそのようなことが難しかったり、訓練が追いつかず音声言語では難しいと判断される子も中にはいます。
しかし一番大切なのは、早期発見早期教育をして親としてどう向き合うか。
また、親としてどのような教育機関を見つけて教育をしていくかということが大事になってまいります。

生後3日目の新生児聴覚スクリーニングで、息子は耳が聞こえないという事を知った私は、そこから息子に補聴器を装用させて色々な学校に行ったり、様々な方々にお会いしました。
その中には私と同じく、シングルマザーとして障がいのあるお子さんを育てている方もいました。
或いは両親共々いなくて児童養護施設に預けられている障がいのある子どもたちもいました。
また、里親によって育てられている障がいのある子どももいました。
そういった現実を7年間息子と歩んでいく中で、色々な現場を見て色々な気持ちになりました。
家族とは何か、また、障がいのある家族の気持ち、また、障がい者の方々の環境、そういったものを目の当たりにしてきました。

息子のことで言うと今は12才になりましたが、無事に大きくなって良かったなあと思っております。
私が離婚をしたのは息子が3才の時でした。
その頃の私はこの子をどうやって育てていけば良いのかと、親として迷うこと悩むことも沢山ありました。
シングルマザーだからといって息子に苦労をかけたくない。
そんな想いから母親の役だけでなく父親の役も両方を今でもやっております。
なぜならば離婚をしたのは父親と母親の判断でもあるからです。
一言で離婚と言っても世の中では、それぞれの家庭環境の中、それぞれの判断で離婚を決意することがあると思います。
しかしまず親としての責任はシングルマザーでもシングルファザーでも子どもの幸せを願って、
そして子どもが幸せに生きていくための道を作っていくことがなにより大事だと思っております。

息子が3才の時に離婚をしたと先ほど申しましたが、ちょうどその頃から私は息子と2人で手話を習い始めました。
そのことでやっとコミュニケーションの方法が学べました。
それまでは口話法という、さっき言いました読話法と同じようなものなんですけども、相手の唇を読むという学習をしていました。
しかし息子にはその学習法が合いませんでした。
そういった中で3才から手話を始めました。
手話を始めて嬉しかったのは息子とコミュニケーションがやっと取れたということです。
普通の赤ちゃんは1才2才からモゴモゴと自分は何をやりたい、何をして欲しいと母親とコミュニケーションを取れると思います。
しかし私と息子は3才まで手話というものがなければお互いが何を伝えたいのか、
また、私が息子に言っていることを、どう伝えればいいのか分からずギクシャクしていた部分もありました。
その度に私は、泣いてはイケナイ泣いてはイケナイと思っていました。
なぜなら息子は耳が聴こえないのです。
耳の聴こえない息子にとっては、瞳に映る世界が全ての情報なのです。
だからこそ私はもう息子の耳のことで泣くことはやめよう。
障がいがあっても明るく笑顔で生きていこう。
そして息子が大きくなるまで責任を持って生きていこう。
息子が歩んでいく後ろ姿を見ていく決意を、誓いを致しました。
ですからコミュニケーションを取れなかった時代も、1人で子育てをしていく中で大変だった時も、
なるべく笑って笑って、息子の前ではいつも笑顔でいるお母さんでいようと意識して一緒に過ごしてきました。

また、シングルマザーとして息子と共に歩んできて感じたことのひとつに、やっぱり人は1人では生きていけないものだなあ。ということがあります。
それは初めて息子の耳が聴こえないと知った時も、手話の世界に行った時も、シングルマザーとして息子を育ててきた様々な場面でも、
沢山の同じ境遇のお母さんたち、沖縄の両親、そういった方々が息子との二人三脚を支えてくれました。
私はこれからもずっと息子の笑顔を願いながら見守っていくのだと思います。
先ほど山東先生が虐待のことを話しておられました。
実は私自身も息子と特別支援学校や児童養護施設などに、音楽とともに様々な学校訪問をボランティアとして重ねてきました。
その中で児童虐待に関しては、シングルマザーである子どもが虐待をされているケースが多かったんです。
シングルマザーの内縁の夫と言いますか、そういった方からの虐待もあり本当に胸が痛くなる思いが致しました。
シングルマザーやシングルファザーが、これからどうやって生きていくのか。
国としても丁寧な議論を重ねながら考えていきたいと思っています。

そしてもう1つ考えなければならないのは、普通とは何か?ということです。
家族というものはお父さんとお母さんがいるのがアタリマエで普通だという、そういった価値観は変わりつつあると私は感じております。
今、生き方も働き方も多様化しております。
教育もこれからインクルーシブ教育というものを国が制度を強化して、地域の中で障がいのある子もない子も一緒に教育を受けられる。
そしてそういった障がいという“個性”を認められて、子どもたちが勉強していかれる多様な教育が進められております。
自分の子どもに障がいのあるないに関わらず、親という責任をきちんと果たせるような、そんな社会になって欲しい。
決して誤解されたくは有りませんが私はシングルマザー推進ではございません(笑)
そうではないのですが今、社会は多様化してきていると思うのです。
いったいなにが普通なのか。
自分のスタイルを持って、自分らしく生きていくことが普通であるという世の中を、シングルマザーもシングルファザーも、その子供たちも、どんな環境に生まれても、どんな環境で育っても、
全ての方たちが夢を持って活躍できる、そんな社会であるように国としてもこれからサポートできればと思っています。

息子と歩んできた12年を振り返ると笑顔でいることを心がけてはいたものの、迷惑をたくさんかけたなと思うこともありますし、
やっぱりお父さんの存在も大事なんだなあと思うこともありました。
子どもは我慢をするものです。
男の子が母親に本音を言ってくれることは少ないと思っています。
そういった中でも母親として、これからも息子の気持ちにどう寄り添って生きていけるのかということを大事にしていきたいと思っております。
息子も小学校6年生になり親と一緒に行動することも少なくなりました。
どんどんお兄ちゃんになっていくなあと安心していますし、これからは少しずつ距離を取りつつ陰ながら見守っていきたい。
でも息子が泣きたい時にはキチンと寄り添って隣にいられるような母親でありたいと思っております。

今日は南間さんからこのダイバシティヴィムという素敵な場にお招き頂き、シングルマザーを取り巻く環境について私自身の思うところを話させて頂きました。
ご清聴ありがとうございました。

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